農業政策を考える上で(2)

日本食文化がユネスコ世界無形文化遺産に認定されたことで、海外からの日本の農産物の需要や、日本へ訪れる外国人旅行客の和食需要は伸びていくでしょう。専業農家の方の人口が減っていくのであれば、日本人でも和食を食べられる機会が減ってしまうでしょう。このような農産物の需要が増え、供給が減っていく状況下では、農産物の価格が向上するので農家の方には嬉しいことだと安易に考えてしまうかもしれません。

しかし、価格調整をしているのは農家ではなく仲介業者であるため現在の商習慣上では農家へ好市況の還元はされにくいでしょう。これでは企業の農業経営参入や若手の農業選択は一過性のものとなってしまいます。農業を主とする個別経営の総所得は平成26年には634万円で、農業所得は499万円です[1]。ここから雇人費、小作料、減価償却費、租税公課、種苗費、肥料費、農具費、修繕費、光熱費、衣料費、荷造運賃費などを差し引くと、農業経営の営業利益は本当に微々たるものとなるでしょう。

ただ、もし農業従事者や雇われ人の所得を現状の2.5倍~3倍へ増やすことができ、必要経費を現状維持することができれば、大企業の農業経営参入や転職先に農業を選ぶ人々は増えるかもしれません。しかし新卒時に農業を就職先として選ぶ若手はそれほど増えないでしょう。若手の就農者を増やすためには、カッコ良くて、ワクワクする農家のアニメを創り出し、これをブームにするといったサブカルチャーを取り入れることも必要です。実際、学生が部活を選ぶ際、人気アニメの影響を受けるという報告もあります。

平成27年2月時点の専業農家の65%の平均年齢が69歳であるならば、指導的立場に立って若手に農法を伝授できる健康寿命前後の年齢までの期間、即ちあと3年前後が農業の勝負所です。この急速にマイノリティー化する和食文化の維持継承のために、農業の工業化、自動化も政策上検討するのは然るべきことですが、どのように若手就農者を増やすか、どうすれば農産物がオンリーワンとなりうるか、農業の関連業界も含めて包括的かつ迅速に政策を考えて実行することが必要です。

[1] http://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/